佐渡島の環境と海洋

  • 佐渡の海の特徴をご紹介します。 

変化に富んだ 暖帯の海

 

日本列島は「 三つの海 」 に囲まれている。北海道沖から東北にかけての「 温帯の海 」と、南方の「 熱帯の海 」。その間に広がる、変化に富んだ「 暖帯の海 」。それぞれに個性豊かな日本の海は、世界的にもまれな生物の多様性を誇っている。

素晴らしい日本の海

 

日本は、米国カリフォルニア州と同じくらいの大きさだが、海岸線の長さはアラスカを除いた米国全体のそれを上回る。

その日本には、北は北海道から南は南西諸島、台湾の東の八重山列島に至る、生物地理学的に異なった、多様な海の世界が広がっている。

あえて簡単に説明すると「 三つの海 」 である。

三つの海の価値

三つの海

日本列島は「 三つの海 」 に囲まれている。北海道沖から東北にかけての「 温帯の海 」と、南方の「 熱帯の海 」。その間に広がる、変化に富んだ「 暖帯の海 」。それぞれに個性豊かな日本の海は、世界的にもまれな生物の多様性を誇っている。

まず一つは、北緯約38度から約45度の間、東北沖からオホーツク海にかけての「 温帯の海 」。 ここは主にオニコンブとその仲間に独占される海域である。

次はサンゴ礁にカラフルな魚たちが暮らす「 熱帯の海 」。そこには奄美大島をはじめとする南西諸島から、南は西表島の南の波照間島、そして東には小笠原諸島が含まれる。

そしてこれら二つの海に横たわるのが「 暖帯の海 」だ。 鹿児島の南、トカラ列島から本州の南東側を北上し、太平洋側は仙台までが、日本海側は佐渡島までが、おおよその範囲である。

 

この「 暖帯の海 」は、三つの海の中で最も変化に富んだ、予測のつかない表情を見せてくれる。これほど豊かで、変化に富んだ海を持つ国がほかにあるだろうか。 フィリピンの北から流れてくる暖流の黒潮、そして北太平洋・カムチャツカ方面から南へ下がってくる冷たい親潮の流れを受けながら、 日本の三つの海は、海鳥や魚、海生哺乳類、その他たくさんの小さな生物のすみかとなっている。

野生生物の数が次第に減り、多くの種が絶滅の危機に瀕している今日、この豊かな日本の海は生物の多様性という意味において、 アマゾンの熱帯雨林に匹敵する価値を持つと言ってもいい。

「三つの海」がある理由

 

日本にはなぜ、「 三つの海 」 が存在するのだろう。その答えは、緯度、潮流、そしてプレートの動きが重なり合った条件の下にある。

北緯45度のオホーツク海と北緯24度の波照間島では、冬の気温差があまりにも大きい。このことが直接、海の水温の違いをつくりだしている。

さらに透明で暖かい黒潮の流れが北東へと流れていく際に、北は伊豆諸島まで接近する。同様に北からは親潮が、亜北極の冷たい流れを連れて、冬には利根川か流れ込む辺りまで南下してくる。北海道・知床半島沖の海では、冬の水温はマイナス2℃まで下がり、オホーツク海は氷に閉ざされる。

一方、南西諸島のサンゴ礁の海は、冬でも水温が17℃を下回ることはない。そのような水温の違いが、それぞれの海域における生物相を決定する条件となる。同じように、プレートの動きも、日本近海に様々な生物のすみかをつくるうえで重要な役割を果たしている。

 

ユーラシア、北米、フィリピン、そして太平洋プレートの切れ目に位置する日本列島の周辺では、プレートの上昇や火山活動などによって数多くの島や海底の山ができる。例えば伊豆諸島などは、すべてフィリピンプレートと太平洋プレートとの境目にそって発生した火山島である。

一方、南西諸島はほとんど隆起サンゴ礁の島々だ。そのような島々の浅い海域では、太陽の光が海底まで届いて、サンゴ礁が形成される環境がつくり出される。そして本州北部や北海道の冷たい海では、茶色い藻類か育つ海底がつくられる。

「暖帯の海」は、「三つの海」の中で最も不安定な、予測のつかない変化を見せてくれる海でもある。水温は海域で異なり、夏は27〜29℃、冬は8〜15℃の間で変化する。

暖帯の海

 

南の海域では、豊富な種類のサンゴを見ることが出来る。北緯34度5分に位置する三宅島では、これまでに80種類もの造礁サンゴが確認されている。しかし冬には水温が13℃にまでなるこの海で、サンゴは本物のサンゴ礁を形成できず、火山性のリーフの上で常に海藻との勢力争いを行っている。

ここでは沖縄のサンゴ礁の海と同様、ほとんどの魚は海中に大量の卵を生み放つ。卵は何からも守られることなく、やがてプラクトンと共に外洋へと流されていく。

佐渡島周辺を含む日本海では、夏にベラの仲間の巨大なコブダイが、毎日のようにハーレムの中の雌と繁殖活動を行う。彼らの産卵の方法は、まずリーフの上方3メートルの付近までペアがゆっくりと上がってゆき、さらに4メートルほど急に上がったかと思うと、辺りの水中にひとかたまりとなった卵を放つ、というものである。


故 ジャック・T・モイヤー
ナショナルジオグラフィック日本版 2002度1月号
「豊かな生命を育む日本の3つの海」
( 文 = ジャック・T・モイヤー )より引用